新卒入社した社員が3年以内(第二新卒世代)に3割が辞めてしまうと言われています。最近の若者は根性が無いから辞めてしまうのでしょうか?
実は、昔から日本人の離職率は大きく変わっていないのです。
今回は新卒3年以内に3割が離職することは、「おかしくないよ」というお話をします。
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【調査データ】第二新卒・新卒入社3年で3割が辞める
卒業後3年以内の離職率の推移
上の図は、厚生労働省の調査データをグラフにしたものです。多少の増減はありますがだいたい新卒社員3年で3割が離職しています。
採用から教育まで一人の新卒社員を一人前にするコストは、2000万円にものぼるといいます。企業にしてみたら、せっかく採用した金の卵『新卒』が毎年3割も辞めてしまったらたまったものではないですね。
それで「けしからん!」「3割も辞めるとは何事だ!」と問題になっているわけです。
昔の若者もやっぱり辞めてた
老害上司は、「若者は根性がない!俺の若い頃は違ったぞ!」と決めつけて無理矢理納得するでしょうが、若者の早期離職の傾向は昔から変わっていません。
氏原正治郎・藤田若雄による論文『京浜工業地帯調査』では1950年代の若者は20代に数回の転職を経て、その後長く定着するという傾向でした。
1950年代:20代に数回の転職を経て、一つの企業に収まり、その後長く定着する
氏原正治郎・藤田若雄『京浜工業地帯調査』
また小池和男の著作『日本の雇用システム』では1970年代前半には20代前半の転職率は20%だったとのこと。
1970年代前半には20代前半の転職率は20%だった
さらに、上記ここ10年のグラフでも離職率は3割で推移しています。
景気の悪かったリーマンショックあたりは仕事を辞めても転職できないので辞めず、最近の好景気では転職先はたくさんあるので仕事を辞める傾向が高まっています。
1970世代生まれは離職率が低く、1990年代生まれは離職率が高いなど世代によって離職率が変わることはありません。景気で多少変動するだけなんです。
仕事辞めちゃうの仕方ないよね
大学生は辛い受験勉強を耐え忍び、「合格したー!やったー、遊びまくるぞー!」と飲み会やバイトくらいしか頑張ってなかったのに、いきなり就活がはじまり「就職おめでとう、”一生の仕事”だ頑張れよ!」と社会に無理矢理放り出されます。
社会のこともよく知らないのに就活ガチャで『一生の会社・仕事』を見つけるなんて課金しても無理でしょう。どの会社や仕事がいいかなんてわかりません。新卒でブラック企業に騙されてしまう子もいます。
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そもそも、仕事をはじめてからしか、何の仕事をするかはわからないんです。配属ガチャ問題、「思てたんと 違ぁ~うっ!」となるケースも本当に多いですよね。
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人編関係が合わない上司ガチャ問題もあります。キチガイ上司にあたってろくに教育もされないのに精神論で怒鳴られて、潰されてしまうかわいそうな子もたくさん知っています。
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そんな不条理な状況を耐え続け、新卒で入った会社で心を壊してひきこもりになった後に自殺してしまった子もいます。
実際、この国の文化・企業・働き方が根本的におかしいのは数字で出ています。
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日本は世界一優秀な労働者を抱えているのに、一人当たりの労働生産性は先進国中最低。それだけでなく社員のモチベーションも最低なんです。
だから、「新卒3年以内で辞めたくなっても仕方ない」とお姉さんは言いたいのです。
【詳細データ】第二新卒の業種別離職率
面白いので細かいデータも掲載しておきます。あなたの業界はどうですか?
鉱業、採石業、砂利採取業
建設業
製造業
電気・ガス・熱供給・水道業
情報通信業
運輸業、郵便業
卸売業
小売業
金融・保険業
不動産業、物品賃貸業
学術研究、専門・技術サービス業
宿泊業、飲食サービス業
生活関連サービス業、娯楽業
教育、学習支援業
医療、福祉
複合サービス事業
サービス業(他に分類されないもの)
その他
ブラック体質&手に職がつかないような未来のない業種の離職率は高い。
仕事人生の戦略無く安易に就職するのも問題かもしれない。学生時代も含めるなら若い時代の貴重な数年が無駄になるから。
生涯年収でも就活に失敗したり第二新卒で対象し無職期間ができた場合や良い職場を見つけられずに何度も転職することになってしまったら生涯賃金は転職しなかった人と比較すると1億円ほど変わって来る。
就活で会社や仕事選びを失敗し、第二新卒で再挑戦しようとしているあなたは当ブログで情報収集しながら最善の手をうっていただきたい。
また今後10年AIやロボットの発達することによって仕事も約半数がなくなるといわれています。斜陽産業やAIに取って代わられる業種の離職率も上がっていくでしょう(今は変化はないようですが)。
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まとめ
未来は決して明るくはありませんが、それでも前を向いて今できることを精一杯こなしながらより良い人生を目指しましょう。
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